2012年3月27日火曜日

「組織」から「個」へ

「組織」とはそもそも何ですか?
「会社」とはそもそも何ですか?

株式会社を始めとする多くの企業体で、ヒエラルキー構造の組織図は本当に合理的なのだろうか。

ヒエラルキー構造の典型である「軍隊組織」は、戦闘を目的とし、隊長の命令一下、一糸乱れぬ統率をもって行動することに適した形態であるが、実際には「戦場は霧の中」であり、中央で全てを統括することは現実的ではない。

現場レベルでの自律分散型の判断と行動が求められるし、上官の命令がなければ動けぬ兵士は良い兵士ではなく、命を落としかねない。

他方、生産工場における組織では、効率的な生産を目的とし、各工程をつかさどる上司である班長・作業長の指揮の下、作業者が作業を行うことに適した形態であるが、実際には生産現場におけるヒエラルキーも変わりつつある。

例えば、キヤノンやソニーなどは、上流から下流工程までの全てを一人で行う「セル生産方式」を導入しており、毎年マイスターとして表彰され、それは社の誇りであり社員のヒーロー的存在でもある。

【かつて(組織の時代)】

 ●組織の寿命/従業員の雇用期間よりも長い

 ●ビジネスパーソンの信用/どの企業に属しているか

 ●ビジネスパーソンのゴール/組織の繁栄・発展

 ●モチベーション/他者評価・昇進

 ●判断基準/他者に依存・命令に従う

 ●行動のレバー/人事権・シニオリティに基づく指示


これから(個の時代)

 〇組織の寿命/従業員の雇用期間よりも短い

 〇ビジネスパーソンの信用/どんな人であるか

 〇ビジネスパーソンのゴール/個々人の幸福

 〇モチベーション/自己評価・やりがい

 〇判断基準/自ら判断する

 〇行動のレバー/個々人の納得感・内なる想い

組織で生きる人間の価値観がかつてとは大きく変わってきている。

変化が激しい時代、個の力が求められる時代、ヒエラルキー型組織とネットワーク(パートナーシップ)型組織では、本当に強いのはどちらだろうか?

【ヒエラルキー型組織】

 ◆強い。

 ◆がっしりしている。

 ◆固定的で、変化に乏しい。

 ◆硬直的である。

 ◆ゆらがない。アソビがない。

 ◆様々なルールが決められている。


【ネットワーク(パートナシップ)型組織】

 ◇弱い。

 ◇しなやかである。

 ◇変化し、進化し、成長する。

 ◇流動的である。

 ◇ゆらぐ。アソビがある。

 ◇ルールが決められていない。

本当に強いのは弱い組織であり、本当に弱いのは強い組織である。

これからの組織は、鉛直方向の支配を基本とするヒエラルキー型では変化の速度や多様性に対応できなくなる。それは、「ひとり」の持つ本来の力を殺してしまう。水平方向のつながりを基本とするパートナーシップ型のマネジメントが必要となる。

組織のハコの在り方は、株式会社でも任意団体でもどうでもよい。パートナーシップとは、入れ物のことではなく、マインドそのものであり、そしてそれを成り立たせるための要諦があるが、今回はあえて割愛する。


【自らを規定するタイトルとの決別】

自らを規定しているタイトルをはずした状態で、他者と交流するという実験をしてみるのも有意義なことである。

以下のような名刺を作成し、例えば自分の会社の人間と新規顧客と会ってみたら(無論自社ではない場所で)どうだろう。

 〇社名・組織名・役職などを外し、名前だけとする。

 〇人間としての裸の勝負をしてみる。

すると、面白いことに明らかに軽視されたり、一方で軽視しない人の存在に気付く。

そして、自らの心の強さ(矜持)と、弱さ(依存心)を感じるだろう。また、相手の心の弱さと強さが、非常によく分かることに気付く。

それをもって、以下のことを確認してみてはどうだろうか。


★自らが「パートナーシップマインド」を有しているか、メンバーが有しているか。

★人との関係・組織との関係においても、公・私においても、支配・被支配の関係に入り込んでいないか。

★見た目の強さを纏った弱さに逃げ込んでいないか。共依存の関係にないか。

★無自覚のまま安易な形態を受け入れていないか。

★黒い糸(支配・被支配、依存の関係)と、赤い糸(対等で独立し信頼し合う関係)がどれほどあるか。

※どちらか片方がどちらかに依存、支配しているのは黒い糸。家族でも同じ。ある場所で支配されていても、別の場所では支配しているケースは多い。

A.I