私たちの多くは、ビジネスは戦いであると思い込んでいます。
会社経営の中に戦争で用いる軍事用語が飛び交っているのも一因でしょうが、
そもそも会社経営とは競合に如何に勝つかを考えることだと、何の疑いもなく思い込んでいる人が少なくありません。
しかし、会社経営の本質が何であるかを考えれば、
会社経営=競争に勝つという発想が浅薄で一面的であることにすぐに気付くはずです。
会社経営の本質は、価値を創造することです。
お客さまにとって価値あるものを創造すること。
そのために価値創造の担い手である社員一人ひとりの可能性が最大限発揮される場を創ること。
そもそもある会社が競合に勝つかどうかは、お客さまからすればどうでもいいことです。
お客さまは、自分の本質的なニーズが満たされる価値ある商品やサービスを適正な価格で提供してくれるかどうかに関心があるのであって、その会社が他社に勝つか負けるかはどうでもいいことなのです。
それなのに他社に勝つことにばかり貴重な資源を費やすことは、
経営判断としても非合理的であると言えるでしょう。
他社に意識を向けるのではなく、お客さまに意識を向けることです。
私自身、コンサルティング業や税理士業を営んでいますが、競合他社を意識したことはありません。
意識しているのは、
お客さまにとって最高の価値をいかに創造するか、
そのために社員にいかに輝いてもらうか、ということであり、
競合他社のことは考えたこともありません。
そうすることで比類無き価値を創造することができ、
結果的に他社を意識することなく幸せな経営を実現できるのだと思っています。
★「哲学や精神論など、経営に直接役たつものではない」という意見を持つ経営者が未だに多いことに驚く。
それは「哲学」や「精神」の本質や機能を知らない人間であり、
原理がなく、あっても「絵に描いた餅」状態である。
「哲学」は、近視眼だと判らない本質的な問題を問う事で、
いつ何時初見の問題が飛び込んできても慌てず騒がず対処できる知のトレーニングである。
「精神」は、気質の問題ではなく行動の様式である。
経営者・企業家精神の原理とは、変化を当然のこと、さらには健全なこととすることである。
それに対峙し、むしろ楽しむためには、自己の探求をし続けることが不可欠である。
「自己実現」や「自己達成」は自己満足の域を超えるものではない。
時代の要請に応え、その一部となりたいのならば、
「自己満足」するな、「自己探求」せよ。