2013年4月23日火曜日

南相馬でのボランティア     ・・・SHUJI


今月のボランティアは福島県南相馬市に行きました。


岩手県・宮城県と南下して26回目にして初めて福島県に入って作業をさせていただきました。

最近、外作業ボランティアは週末しか受け付けてないボラセンが多くなっていますが
南相馬は平日も外作業を受け付けています。

ここは、昨年まで立ち入り禁止区域だったため 復旧作業は遅れているからでしょう・・・
津波での甚大な被害の他 放射能汚染という二重苦・・・

まだ、田畑には逆さになった車や重機がありますし
民家もガレキの撤去すらされていないところも目につきます。

依然、警戒区域のため 日中しか町に入れないところでの作業でした。
そのため、ひっそりとしていて全然 誰とも会いません
壊れた家 倒れた塀 落ちた瓦 だけがそのままに・・

まったく無傷に見える家も人の気配はありません。


長期のボランティアの方が言われてました・・
家の中は泥棒に荒らされ 動物にも入られ 水も漏って畳や床は腐ってしまっていると

作業に入ったお宅も動物の糞やカビで荒れていました。
まだまだ使える家具をすべて捨て 庭の木々もすべて伐採しました・・・

満開の時期を終えたばかりの立派な桜の木も伐採しました、 どうにか切らずに済まないのかと思いましたが、声には出来ません・・一番辛く そう思っている人の決断ですから。

住人のおばあちゃんが・・・「木なんか植えるもんじゃない、かわいそうだもの」と
小さな声で話しかけてきました。
「なんのために家を建てたのだろう・・苦労して35年・・何も残っていない・・・」と
力ない声で言いました。

県外の仮設から作業を見に来られていましたが、
その目の前で
自分の思い入れのある品々が窓から捨てられ、ハンマーで壊され 可愛がってきた木々たちもチェーンソーで切り刻まれ・・・ やりきれない思いだったに違いありません。

私たちに出来るのは、ただ黙々と作業に没頭することのみ
休憩時間に他愛無い会話をすることのみです。

作業が終わりかけたとき、おばあちゃんが さっきまで咲いていた桜の枝を丁寧にゴミ袋にボランティアの人たちと集めて捨てていました・・・まるで お詫びをしているかのように。

滞在中、人の気配と対向車のない峠道を走っていると
いきなり小さな囲いの中にいる白馬と出会いました。
凄く惹かれて、車を停めて近づくと、寄って来てくれてとても人懐こい馬でした。
しばらく見とれていると、馬主さんが話しかけてくれました。

「この馬は野馬追に出る馬なんだよ。 この馬は海のすぐ前の実家で飼っていて震災の日200mも泳いで逃げてくれたんだ」 
この話を聞いて しばらくこの場から動けず馬を見入ってしまいました・・・

もう一頭 こげ茶の馬がいましたが・・・この馬についての話は ここでは触れられません・・・
そのくらい辛い思いを動物たちも体験してしまったんだなぁ・・・と胸が痛くなりました。


最終滞在日は 終日、草刈り機で田畑の草刈り
原発から15Km位の場所での作業だった

ボランティアの一人が手にした放射線量計を見て言った。
「やっぱり ここは 少し高いなぁ」
作業に没頭していて忘れていたのに・・・と思った。




日常が非日常に変わってしまった人たちがいる。


出会ってきたこの人たちの 我慢強さ・・・ ひたむきさ・・・ いさぎよさ・・・


いろんなものを いろんなところで感じたが

いま 改めて 思う


『出来ることを! 出来るだけ!』 


これからも少しでも役に立てるなら 何かをさせてもらいたい。


当たり前の日々が  どれだけ ありがたいことなのか・・・

何気なく過ぎていく毎日が どれだけ 幸せなことなのか・・・


まだ 終わってなんかないんだ。


追伸
岩手県陸前高田の漁師さんから
「来月、大きな船がやっと完成します!」と電話をいただきました。
心が温かくなりました。
大漁旗を贈ります!