もう春は間近なはずのに今シーズン記録的な豪雪の為、想像を絶する状況を目の当たりにしたところからのスタートだった。
母方の祖母が94才で亡くなったが、大往生なので号泣している人も少なく、私自身も悲しさは少なかった。
一般的な地域では通常セレモニーホールで行う事が普通なのでこの雰囲気を味わうことは無かったが、田舎の独特な葬儀は実に素晴らしかった。
また何十年振りに会った従兄弟や親戚の叔父叔母との再開もとても感動した。
株式会社を始めとする多くの企業体で、ヒエラルキー構造の組織図は本当に合理的なのだろうか。
ヒエラルキー構造の典型である「軍隊組織」は、戦闘を目的とし、隊長の命令一下、一糸乱れぬ統率をもって行動することに適した形態であるが、実際には「戦場は霧の中」であり、中央で全てを統括することは現実的ではない。
現場レベルでの自律分散型の判断と行動が求められるし、上官の命令がなければ動けぬ兵士は良い兵士ではなく、命を落としかねない。
他方、生産工場における組織では、効率的な生産を目的とし、各工程をつかさどる上司である班長・作業長の指揮の下、作業者が作業を行うことに適した形態であるが、実際には生産現場におけるヒエラルキーも変わりつつある。
例えば、キヤノンやソニーなどは、上流から下流工程までの全てを一人で行う「セル生産方式」を導入しており、毎年マイスターとして表彰され、それは社の誇りであり社員のヒーロー的存在でもある。
【かつて(組織の時代)】
●組織の寿命/従業員の雇用期間よりも長い
●ビジネスパーソンの信用/どの企業に属しているか
●ビジネスパーソンのゴール/組織の繁栄・発展
●モチベーション/他者評価・昇進
●判断基準/他者に依存・命令に従う
●行動のレバー/人事権・シニオリティに基づく指示
【これから(個の時代)】
〇組織の寿命/従業員の雇用期間よりも短い
〇ビジネスパーソンの信用/どんな人であるか
〇ビジネスパーソンのゴール/個々人の幸福
〇モチベーション/自己評価・やりがい
〇判断基準/自ら判断する
〇行動のレバー/個々人の納得感・内なる想い
組織で生きる人間の価値観がかつてとは大きく変わってきている。
変化が激しい時代、個の力が求められる時代、ヒエラルキー型組織とネットワーク(パートナーシップ)型組織では、本当に強いのはどちらだろうか?
【ヒエラルキー型組織】
◆強い。
◆がっしりしている。
◆固定的で、変化に乏しい。
◆硬直的である。
◆ゆらがない。アソビがない。
◆様々なルールが決められている。
【ネットワーク(パートナシップ)型組織】
◇弱い。
◇しなやかである。
◇変化し、進化し、成長する。
◇流動的である。
◇ゆらぐ。アソビがある。
◇ルールが決められていない。
本当に強いのは弱い組織であり、本当に弱いのは強い組織である。
これからの組織は、鉛直方向の支配を基本とするヒエラルキー型では変化の速度や多様性に対応できなくなる。それは、「ひとり」の持つ本来の力を殺してしまう。水平方向のつながりを基本とするパートナーシップ型のマネジメントが必要となる。
組織のハコの在り方は、株式会社でも任意団体でもどうでもよい。パートナーシップとは、入れ物のことではなく、マインドそのものであり、そしてそれを成り立たせるための要諦があるが、今回はあえて割愛する。
【自らを規定するタイトルとの決別】
自らを規定しているタイトルをはずした状態で、他者と交流するという実験をしてみるのも有意義なことである。
以下のような名刺を作成し、例えば自分の会社の人間と新規顧客と会ってみたら(無論自社ではない場所で)どうだろう。
〇社名・組織名・役職などを外し、名前だけとする。
〇人間としての裸の勝負をしてみる。
すると、面白いことに明らかに軽視されたり、一方で軽視しない人の存在に気付く。
そして、自らの心の強さ(矜持)と、弱さ(依存心)を感じるだろう。また、相手の心の弱さと強さが、非常によく分かることに気付く。
それをもって、以下のことを確認してみてはどうだろうか。
★自らが「パートナーシップマインド」を有しているか、メンバーが有しているか。
★人との関係・組織との関係においても、公・私においても、支配・被支配の関係に入り込んでいないか。
★見た目の強さを纏った弱さに逃げ込んでいないか。共依存の関係にないか。
★無自覚のまま安易な形態を受け入れていないか。
★黒い糸(支配・被支配、依存の関係)と、赤い糸(対等で独立し信頼し合う関係)がどれほどあるか。
※どちらか片方がどちらかに依存、支配しているのは黒い糸。家族でも同じ。ある場所で支配されていても、別の場所では支配しているケースは多い。
A.I
あなたは、今所属する組織から離れその肩書きを取った時、一個人としてどれだけの力が発揮できますか?
また、それら自らを規定しているタイトル(社名・組織名・役職・肩書)と決別することができますか?
グローバル社会とグローバルビジネスに関わるうえで、人に影響を与えること、人を動かすだけの意見が言えることというのは非常に重要なことである。
大企業のトップ・業界のトップに近づくほど、国際社会においてより強い影響力を発揮することが求められる時代である。
また、今後不安定で不確実な未来において(実はいつの時代でも安定などなく、それは幻想でしかない)、個人としての人生設計をしていく上でも、「我を知ること」はけして無駄にはならず、むしろそれを存分に発揮できる時代の最中にあると思う。
例を挙げれば、The New York Times誌やThe Washington Post誌の記事は、誰が書いた記事かが分かる署名記事である一方で、日本では新聞の記事は誰が書いたか分からない匿名記事が大半である。
我々日本人は、組織の立場で主張することに慣れている半面、個人の立場で主張することに不慣れだということがある。
これは、国や文化による行動様式の違いではなく(この違いさえも認識していないが...)、我々日本人は、個人としての意見を主張する場が少なく(実は組織の中でも!!)、圧倒的に訓練の場も少ないといった、グローバルとは異なる行動様式の状態にある。
個人の立場で影響力ある意見を語れるかどうかを量るよい場がある。それは、実名制SNSの世界である。
ここで、一個人としての主張を、自分の所属する組織の人間ではない他者と論を展開してみてはどうだろうか?
ネットの世界ではなく、現実の様々な場で個人としての意見をきちんと他者やグループで揉んだり発展させ、創発の機会を持てていない人間は、SNSなどの参加には無関心・消極的に感じるのは気のせいだろうか....
A.I